AI活用

マンション向けソーラー発電サービスをAIで具体化|3つのAIで壁打ちしLPを公開するまで

マンション向けソーラー発電という新規事業アイデアを、ChatGPT・Gemini・Claudeとの壁打ちから提案用サンプルLPの公開まで具体化した実践記録です。

AI新規事業 / マンション向けソーラー発電 / 複数AI / LP制作 / 事業アイデア

AIでマンション向けソーラー発電の事業アイデアを具体化するイメージ

AIは、事業アイデアを出すためだけの道具ではありません。

まだ輪郭のぼんやりした思いつきを整理し、誰に何を提供するのかを考え、実際に見せられるLPへ変えるところまで活用できます。

今回、私が題材にしたのは、「マンション向けソーラー発電サービス」です。

ChatGPT、Gemini、Claudeの3つのAIと壁打ちしながら事業案を修正し、AIエージェントで提案用のサンプルLPを制作・公開しました。

このLPは、私自身が太陽光発電設備を施工するためのサービスページではありません。

すでに戸建てなどの太陽光発電設備を扱っている事業者へ、「マンションやアパートのオーナー向けサービスも始めませんか」と提案するために作ったサンプルです。

施工会社ごとの実績、対応地域、料金などを反映する前のプロトタイプという位置づけです。

この記事で紹介するのは「成功した完成事業」ではなく、思いつきを検証可能な形へ変えた実践過程です。

AIの提案をそのまま採用するのではなく、複数の回答を比較し、人間が選び直した過程も含めて紹介します。

思いついたのは「マンションでも太陽光を使えないか」

最初のきっかけは、「戸建てでは屋根に太陽光パネルを設置できるが、マンションに住んでいる人にも太陽光を利用できる方法があるのではないか」という素朴な疑問でした。

当初、頭の中には大きく3つの案がありました。

一つ目は、マンションオーナーが屋上に太陽光パネルを設置し、建物や入居者がその電力を利用する方法です。

二つ目は、入居者がベランダや壁際に小型パネルを置く方法。三つ目は、薄くて軽い次世代型の太陽電池を、壁面やベランダの手すりなどにも活用する将来案です。

都市型マンションの屋上に太陽光パネルを設置したイメージ

マンション向けソーラー発電の着想イメージ。実在する施工事例ではありません。

一方で、この時点では、「誰がお金を払うのか、何を提供するのか、日本の集合住宅で実現できるのか」が整理できていませんでした。

マンションオーナー、管理会社、管理組合、入居者では、それぞれ立場もメリットも異なります。

設備の安全性や建物の規約、配線、電力契約など、確認が必要な点も数多くあります。

つまり、アイデアはあっても、まだ事業にはなっていない状態でした。

そこで、最初から一つの答えを決めるのではなく、この粗い着想を複数のAIへ投げ、経営面と実現面の両方から検討してみることにしました。

3つのAIを同時に使って事業アイデアを壁打ちした

壁打ちに使ったのは、ChatGPT、Gemini、Claudeです。私は、一つのプロンプトを3つのAIへ送り、それぞれの回答を比較できるChrome拡張機能を自作して使っています。

このツールには、単に3つの回答を並べるだけでなく、各AIの回答をほかのAIへ引用して知らせる機能もあります。

例えば、GeminiがChatGPTとClaudeの提案を読み、良い部分を取り入れながら、さらに改善案を出すという工程を自動で進められます。

一つのAIだけに質問すると、最初の回答がもっともらしく見え、その方向で考え続けてしまうことがあります。しかし、同じ問いに対する3つの回答を並べると、共通して指摘される重要事項と、AIごとに異なる視点を分けて見られます。今回も、技術の可能性を広げる回答、収益の仕組みを考える回答、法規や安全面から慎重さを求める回答が出ました。

さらに、互いの回答を参照させることで、AIが個別に意見を出して終わるのではなく、ほかの意見へ反応しながら案をブラッシュアップできます。

使っている感覚としては、ChatGPT、Gemini、Claude、そして私の4者で会議をしている状態に近いものでした。

人間と3つのAIが互いの回答を共有し、LPへまとめるイメージ

3つのAIが個別に回答するだけでなく、互いの案を参照しながらブラッシュアップします。

最初に伝えたのは、考えていた3案と、「マンションに住んでいる人が太陽光を使えるサービスを作れないか」という問いです。そのうえで、技術的に可能かという話だけでなく、誰を顧客にすべきか、施工会社へどのようなサービスとして提案できるか、LPでは何を訴求すべきかという経営視点からの意見を求めました。

大切なのは、3つのAIから多数決で正解を選ぶことではありません。

回答の一致点、食い違い、前提条件を見ながら、自分の最初の考えを修正する材料にします。

この比較によって、入居者個人を中心に考えていた事業案は、別の方向へ大きく変わり始めました。

AIとの壁打ちで、狙う相手と価値が変わった

最初は、「マンションに住んでいる人が、自分で太陽光を使えるサービス」を中心に考えていました。

しかし、AI会議で実現性と事業性を検討すると、入居者個人を最初の顧客にする案には多くの課題が見えてきました。

ベランダへパネルを設置する場合は、管理規約、外観、安全性、落下や強風への対策を確認する必要があります。

海外で普及しているプラグインソーラーも、日本でそのまま同じように利用できるとは限りません。

各住戸へ電力を分配する案も、配線、計量、契約、管理方法などの検討が必要です。魅力的な発想でも、最初の商品として扱うには慎重さが必要でした。

そこで中心に置いたのが、マンションやアパートのオーナーです。

屋上で発電した電気を、まずは廊下の照明、防犯カメラ、給水ポンプ、エレベーターなどの共用部で使う案なら、誰の課題を解決するのかが明確になります。

太陽光発電を「環境に良い設備」としてだけでなく、共用部の電気代、防災、物件価値、空室対策を考える経営上の選択肢として説明できます。

ただし、私が実際に設備を販売・施工するわけではありません。

私が提案する相手は、すでに太陽光発電の知識や施工体制を持つ事業者です。

その事業者へ、戸建て市場だけでなく集合住宅オーナー向けの集客導線を作る案として、LP制作や訴求設計を提案します。

この形に変わったことで、私が提供する価値と、施工会社が提供する価値を分けて考えられるようになりました。

事業案を提案用サンプルLPの構成へ変換した

方向性が決まった後は、AI会議で得た内容を、施工会社へ実物を見せながら説明できるLPへ変換しました。

文章だけの企画書よりも、「このようなページでマンションオーナーを集客できます」と実際の画面を見せた方が、提案後の姿を想像してもらいやすいと考えたためです。

LPでは、マンションオーナーが抱える課題から始め、共用部での電力利用、余剰電力、防災設備としての可能性、物件価値や空室対策を順に整理しました。

また、Geminiから出た案をもとに、屋上面積や共用部の電気代などを入力する簡易シミュレーターも組み込みました。

数字を眺めるだけでなく、自分の物件に置き換えて考えられる入口を作るためです。

この段階のLPは、事業の完成版ではありません。

掲載している料金、削減効果、補助制度などは、施工会社の実績や正式な現地調査、公的な最新情報に合わせて精査する必要があります。

そこで、施工会社ごとに正確な情報へ置き換える前提の提案用サンプルとして位置づけました。

最後に、3つのAIとの壁打ち内容をまとめ、LPの目的、対象読者、必要なセクション、シミュレーターの仕様などを実装用プロンプトへAIに変換してもらいました。このプロンプトをCodexやClaude CodeのようなAIエージェントへ渡すことで、頭の中の事業案を、実際に操作できるWebページへ進めていきました。

CodexとClaude CodeでサンプルLPを作り、公開した

実装用プロンプトができた後は、CodexやClaude CodeなどのAIエージェントへ渡し、LPの文章、レイアウト、シミュレーターをWebページとして組み立てました。

AIエージェントは、相談相手として回答する生成AIとは異なり、指示をもとにファイルやプログラムを作り、実際に動く成果物へ近づける仕組みです。

もちろん、プロンプトを一度渡しただけで、そのまま公開できる完成品になったわけではありません。

画面を確認しながら、伝わりにくい表現や不要な要素を修正しました。

サンプルLPであっても、実在する施工会社の実績に見える表現や、根拠の確認できていない数値を載せないよう、最後は人間が確認する必要があります。

制作したファイルは、GitHubという「Webサイトのデータや変更履歴をインターネット上で保管するサービス」に保存しました。

そして、Cloudflare Pagesという「保管したデータをWebサイトとして公開するサービス」と連携させています。

この2つを一度つないでおくと、GitHubにあるファイルを修正するだけで、公開中のWebページにも新しい内容が反映されます。

毎回サーバーへ手作業でファイルを送り直す必要がないため、文章やデザインを修正しながら育てていくLPに向いています。

今回のLPには専用のWebアドレスを設定し、solar.ima-lu.comで見られる状態にしました。

公開したマンション向けソーラー発電の提案用サンプルLP

実際に公開した提案用サンプルLP。施工会社の正式なサービスページではありません。

前日の夜、寝る前に浮かんだ事業アイデアが、翌日の午前中には実際に操作できるLPとして公開されていました。

ただし、速く作れたこと自体が重要なのではありません。

頭の中だけで考え続ける段階から、ほかの人に見せ、意見を聞き、改善できる段階へ移れたことに大きな価値がありました。

再現できる「AI新規事業づくり」の5ステップ

今回の方法は、マンション向けソーラー発電に限りません。

別の新規事業アイデアでも、次の5段階に分けることで、AIとの会話を実際の成果物へつなげやすくなります。

  1. 粗い着想をそのままAIへ伝える

    最初から完成した事業計画を作る必要はありません。思いついた理由、想定している利用者、分からない点を率直に伝えます。

  2. 複数のAIへ同じ問いを投げる

    顧客、課題、提供価値、収益方法、競合、実現上の問題などを質問します。回答を比較し、さらに互いの回答を読ませると議論を深められます。

  3. 採用・保留・却下を人間が決める

    AIの提案を全部盛り込むのではなく、現実性と自分が提供できる価値を基準に選びます。面白くても根拠が弱い案は、将来案や保留として分けます。

  4. 見せられる成果物の指示書へ変換する

    壁打ち結果を、LP、提案書、簡易ツールなどの目的、対象者、必要項目、注意事項を含む実装用プロンプトへまとめます。

  5. 小さく公開し、検証を始める

    公開は事業の完成ではなく、検証の開始です。実際の顧客候補や専門家へ見せ、反応や指摘を集めて、内容を修正します。

この流れで重要なのは、AIへすべてを任せることではありません。

AIは選択肢を増やし、比較し、形にする速度を高めてくれます。

一方で、何を目指すかを決め、事実を確認し、最終的な責任を持つのは人間です。AIと人間の役割を分けることで、思いつきを止めずに前へ進められます。

AIを使うときに、人間が手放してはいけないこと

AIを使えば、これまでより短い時間で事業案やLPを作れます。

しかし、作成が速くなったからといって、内容の正しさや、事業としての成立まで保証されるわけではありません。

特に今回のような太陽光発電では、設備の安全性、建物の状態、電力契約、法令、補助制度など、専門家や公的機関への確認が必要です。

発電量や電気代の削減額も、屋上面積、日照条件、設備、電力使用量によって変わります。

AIが示したもっともらしい数字を、そのまま営業資料やWebサイトへ掲載するのは危険です。

確認するときは、情報を次の3つに分けると整理しやすくなります。

今回の「前日の夜に思いつき、翌日の午前中にLPを公開した」という話は私自身の体験ですが、誰でも同じ時間で作れるという意味ではありません。

また、公開したLPは事業の成功を証明するものではなく、施工会社へ提案して反応を確かめるための出発点です。

AIには、考える材料を増やし、文章や画面の形にする作業を任せられます。

一方で、採用する案を決めること、正確性を確認すること、顧客へ約束する内容を決めることは、人間が担当します。

この境界を曖昧にしないことが、AIを事業で安全に使うための基本だと考えています。

まとめ:アイデアは、小さく形にすると次へ進める

今回の出発点は、「マンションでも太陽光を使える方法があるのではないか」という、まだ顧客も収益方法も決まっていない思いつきでした。

そこからChatGPT、Gemini、Claudeと私の4者で会議を重ね、入居者向けの発想を、既存の太陽光施工会社へ提案するマンションオーナー向け集客案へ修正しました。

さらに、話し合った内容を実装用プロンプトへまとめ、AIエージェントでサンプルLPを制作し、実際に見てもらえる状態まで進めました。

AIの価値は、正解を一度で出してもらうことだけではありません。

曖昧な考えを整理し、異なる視点を比較し、次の行動に使える形へ変えられることにあります。

新規事業は、最初から大きな費用をかけて完成品を作る必要はありません。

まずはLP、提案書、簡単な試作品など、顧客候補へ見せられる小さな成果物を作ります。

反応が得られれば改善し、反応がなければ対象者や伝え方を見直す。この繰り返しによって、頭の中だけでは分からなかった課題が見えてきます。

私は、AIの導入そのものではなく、経営者や社員がAIを使いながら、実際の業務や新しい事業を前へ進められる仕組みづくりを支援しています。自社のアイデアを整理したい、AIとの壁打ちからLPや業務ツールまで形にしたいという場合は、AI × Well-being 業務改善サポートをご覧ください。